Web会議での通訳業務について

Zoom, MS Teams, Skypeなどを使ったWeb会議での通訳業務も承ります。逐次通訳であれば,特別な準備をすることなく通訳者も会議出席者の一人としてWebミーティングに参加して通訳を行います。

また,一定の条件が揃えば同時通訳も可能です。専門の業者に依頼しなくても,会議のセッションと平行して,別のWebミーティングセッションを立ち上げ,同時通訳はそちらを聞いていただくことになります。

EPOの異議・審判で,口頭審理がWebで行われる場合にも,同様に別途同時通訳用のWeb会議を平行して立ち上げれば,日本からでも日本語の同時通訳を聞きながら参加できます。

ドイツ裁判所で行われる口頭弁論では,事前に裁判所と話し合うことで,口頭弁論の日本へのWeb中継を行う許可をもらい,その際に音声は同時通訳の声を伝送することが考えられます。

ドイツの代理人の先生方も現在では日常的にWeb会議を行うようになっていますので,費用をかけずに迅速かつ細かな意思疎通を図る可能性のひとつとしてご活用ください。

Web会議通訳で考えられるシナリオ

  • 逐次通訳 両言語方向に逐次通訳をする場合は,通常のウェブ会議と変わりません。
  • 同時通訳 片方向のみ 例えばドイツ語から日本語方向のみを同時通訳で行い,日本語からドイツ語へは逐次通訳をする場合,日本側で同時通訳を聞かれる方には,ウェブ会議とは別のオンライン回線を立ち上げて,音声だけは各人のデバイス(スマホ,タブレット,PC)でイヤホンないしヘッドセットを使って聞いていただきます。
  • 同時通訳 両方向 ウェブ会議の他に,ドイツ側・日本側向けにそれぞれ別の回線を用意して,日本側が話している間はドイツ側の回線で同時通訳,ドイツ側が話している時には日本側の回線で同時通訳となります。同時通訳を利用する会議参加者がそれぞれウェブ会議の回線と,同時通訳の回線の二回線を使う点は,日本側もドイツ側も,上記の片方向のケースと同じです。通訳だけが,三回線を切り替えつつ作業をすることになります。

Web会議での注意点

ウェブ会議では,話者の音量が一定の値を下まわると雑音として処理されてしまい聞こえなくなるので,声が小さかったり,マイクが遠かったりした瞬間に音飛びが生じ,文の重要な部分が聞こえないことがあります。同時通訳では,その結果誤解が生じるリスクがありますので,出席者全員がヘッドセットなどを利用して,一人ずつ独自のマイクを使用するのが理想的です。

会議室等で固定マイクを共有する場合には,話者の座席の位置によって声が非常に聞き取りにくくなりますのでご注意ください。特に,会議室の回線の他にも,出席者が持参ラップトップで別途オンラインしている場合には,そのデバイスのマイクはミュートしておかないと,室内マイクとデバイスのマイクが競合してしまい音声が極めて不明瞭になることがあります。

Zoomの同時通訳チャネル機能

Zoomには同時通訳用の音声チャンネルを設定し,同時通訳者を会議に参加させる機能があります(有料ライセンス版のみ)。ホスト側でミーティングを予定する時に,設定でlanguage interpretationを有効にし,通訳者を割り当てることで,会議の参加者はオリジナル音声と通訳音声を切り替えることができるようになります。詳しくはこちらをご覧ください。

知財通訳翻訳 井上英巳