ドイツ国家検定通訳翻訳士

EPOでの口頭審理

ミュンヘンのEPOは、庁舎が複数に分かれています。通常であれば、異議申立(Opposition) の口頭審理はバイエル通り(Bayerstraße) 34番か、グラッサー通り(Grasserstraße) 2番にある庁舎で行われます。この2つの庁舎はミュンヘン中央駅からバイエル通りを西に向かって歩いて10分の距離で、下の地図では、左上にある2つの青いマークがその庁舎です。(左がグラッサー通り、右がバイエル通り)

審判(Appeal)の口頭審理は、地図の右下にあるミュンヘン旧市街の南東に位置するイザール川沿いの本庁舎が会場となります。こちらが元々の欧州特許庁の庁舎で、隣にはドイツ特許商標庁があり、向い側のイザール川の中州にドイツ博物館があります。特許審査がEPOのハーグ支庁の審査部で行われた出願については、異議申立の口頭審理がオランダのハーグ支庁で行われる可能性があります。

口頭審理当日の流れ

口頭審理当日は、会場となる庁舎の受付で、パスポートを提示して訪問者証をもらい胸につけて中に入ります。審理室には4桁の番号が振られていますので、召喚状に記載されている番号の部屋の前に行くと、扉の横に本日の審理の事件名と異議申立人・特許権者の名称、さらに三人の審判官の名前が書かれた掲示があります。

審理室に入れるのは、審理開始の直前ですので、時間がある場合には当事者用の待合室を利用します。待合室にはコピー機があり、提出する必要がある文書の複写をとることができます。

審理室に入ると、まず出席者の身元確認がありますので、パスポートを提示します。着席すると、机の上にはマイクがあり、机の下にヘッドフォンが入っていて、チャンネルと音量を調整するボタンがありますので、席に着いたらまずヘッドフォンを着用して、通訳の私の声が聞こえるかどうかを確認してください。マイクのスイッチも机の手前についていますが、これは代理人用のものですので、通常は必要ありません。

審理が始まると、まず審判長から、当事者双方の請求内容の確認があり、口頭審理の要点について説明があって、その後、争点となっている事項ごとに、まず異議申立人から主張を行います。ひとつの争点について、当事者双方が十分に議論を尽くしたと審判長がみなした時点で、審理は一旦中断され、異議部(審判部)の合議が行われます。合議中当事者は部屋の外に出て待つことになります。

合議が終わると、当事者が審理室に戻り、審判長からまず、該当の争点に関する判定の言い渡しが行われ、続いて次の争点の議論に移るという手順を繰り返して、最終的に「特許の維持」または「特許を補正の上で維持」ないし「特許取消」の決定が言い渡されます。

決定の理由については、口頭審理では説明はまずありませんので、後日送達される理由書を待つことになります。

知財通訳翻訳 井上英巳