連邦特許裁判所における口頭弁論の流れ

開廷後まず出廷者の確認があり、続いて裁判長による書面準備手続のまとめと双方の請求内容の確認、そしてある程度の心証開示が行われます。この時の裁判長の発言内容を正しく理解して、適切に対応することが肝要です。裁判長とならんで重要な存在が、本件の準備を担当し判決を起案する主任裁判官(左陪席)で、裁判長に向かって見ると右側に座っています。この技術判事が本件の技術的内容には一番詳しいので、こちらの主張を裁判長と主任裁判官に理解してもらうことが勝訴の鍵となります。書面準備手続の途上で法廷から示された暫定見解書は、合議体全体で審議した上で作成されている場合と、この主任裁判官に一任されている場合があるため、後者の場合には合議体で審議した結果、暫定見解書とは裁判所の立場が変わっていることもありますので、冒頭の裁判長の言葉が極めて重要になります。

裁判長によって訴訟指揮のタイプが異なり、個々の争点についてそれぞれ双方の主張を述べさせてから一旦休廷して合議を行い、その結論を言い渡した上で次の争点に議論を進める方法や、すべての争点に関する当事者の主張をすべて述べさせてから合議に入る裁判長もいます。

そして合議が終わり次第判決が言い渡されるのが通常ですが、判決の言渡し期日を改めて定める可能性もあり、口頭での言い渡しに代えて書面による判決の言渡しが行われることもあります。口頭で判決が言い渡された場合には、判決文と理由書が後日送達されます。


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知財通訳翻訳 井上英巳